うたた寝 うらら/千月 話子
午後に揺れる はちみつ色の池が
とろり とろり
眠くて仕方ありません
医学的にホルモン・バランス
春の陽気を否めませんのよ
かすんだ景色を走るの 普通電車が
かげろうに溶けゆく線路を
こととん こととん
まばらに人が浮いているのよ
そこは ここんとこ 無重力ですか?
電話のベルが鳴ってます
ぺこん ぽこん
びーどろの笛
ガラス細工の溶ける音
気が済むまで気付かずに
放っておいてくださいましね
ゆるく手に持ったペン先が
なめらかに 動き回って廻って
くね くねね
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)