貝/itukamitaniji
 


僕は貝になって 深い深い海の底へ沈んでいった
クラゲの群れをよけて 大きなクジラに驚いて
どれくらい時間が経っただろう 一瞬にも永遠にも感じる
ごつんと音がして どうやら一番底まで辿り着いたみたいだ

殻の中にしまいこんだ秘密 誰かに分かってもらうことすら
面倒くさくなって 耳を塞いで口をつぐんでいた
絆、仲間、夢、希望 その他その類いの似たようなもの
所詮僕たちは それらを信じてしか生きていけないという

嫌気がさして ならばと離れてみるなんて安直な答えしか
見つけられないのが 余計に腹立たしくて仕方ないけど

探さないでください しばらく僕はどこにもいません
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