比喩のない町/
左屋百色
秋空の下に集合した夏の言葉が
口笛で
いつかの春に反射するから
風は今日も
それらを含んで
ざらざらしているよ。
優しい歌ではないからね、
この口笛は。
ほら、すこし前に、
セミが奏でた衝動
夏の歌が鼓膜を破って花になった。
そう、あの日の、一枚の、花びらが
目の前で、
息をひきとる11月、
取り壊しの始まった実家の庭に
冬の気配、
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