走る青空/砂木
 
軽トラックの荷台に仰向けになって
青空を見るのが好きだった
実家から水田転化した林檎畑までは少し遠く
父の運転する軽トラックの荷台に乗り込み
寝転がって空を仰ぎながら道々を行った
時折助手席の母が振り返り 私を見る
父と母が笑いながら 畑に向かう

青空は白い雲があるだけだった
まぶしくて 道路脇の木々の葉に視線をそらす
雨の日は合羽を着たまま 濡れながら
でも 父母と行く軽トラの荷台がいつも好きだった

手術をしてから 林檎もぎに行った父
父さん 黙って座っててと 私は言った
父さん はしごなんか持たなくてもいい
父さん いいから休んでいて やるから
ねえ やる
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