孔/陽向
 



憧れを追い駆ける時の虚しさ
その中でしか見つけられない理由(わけ)を求めていること
いつからか
僕の片手には孔が開いていた

その寒さの中で屈まっている君よ
なんて空疎で大きな足跡だろう
君はあの大きな木の幹に凭(もた)れ
どう足掻こうとも竦んでしまう脚を優しく叱るのだ

それは微かな震えだった
孔の中から聴こえる陰たちの叫喚
もうすでにここから果てしなく遠くへと離れているのに
その音はいつまでも 鳴り止む気配がない

しかし戸惑い足を止めてはいけない
小鳥たちの囀りに耳を傾け
その音を陰たちの叫喚に分解させれば
君は確かな幻を感じるだ
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