詩のレシピ(改)/hadukino
 
てはだめだよと
やんわり諭す掌のかさつきが
右手の甲に貼り付いて消えない

面影は翻した袖の通り道に埋めた

花壇にアベリアが咲く間は
目印になるから

冬までにはおいで


バザールに寄ったキャラバンの隊長は
お目当ての物に出会えなかった夜
馴染みの茶器に一杯の紅茶を淹れて
次の商機に願掛けをする
もう一杯は家族の安泰へ捧ぐ
どこからか野犬の遠吠え
持ち帰る品々の中には
質のいい産着が数着
最後の一杯は
良い人生を願う


踏まれて強くなったと教えられてきた
実は流れるように生まれてきたのだと
或る日見せられた書類が
私を誕生の秘密に向かわせる
過去を遡る旅程は
未来を測る行程でもある
知りたいのは真実でも真理でもなく
私という存在である


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fromツイッター連詩「詩のレシピ」 #pwGT組 2014/09/21-2014/10/05
自作詩部分を抜粋、再構成
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