喪失/藤鈴呼
 
る程 見つめてた
見つけて欲しくて 君に
明ける空を 見定めたくて

今感ずる 一つの喪失につられて
次々と 悲しみが 連ならぬようにと 祈る
幾ら 祈り続けても
本来 無駄なのだとは 知っているけれど
知らずに 生たいから

可愛らしい君の 面影ばかりが
ちょこちょこと 脳裏を 埋め尽くす

かわいいね けれど ちょっと かなしいね
平仮名で 表現したら
ほんの少し 薄れる気がした 悲しみも
握り潰して 粒にして
歩き出さねば なるまい

今日は 白き粒も 見えない
雨水 だからかな
薄っぺらい 思いばかりを 浮かべた水溜りが
ゆっくりと 広がって行く

のっぺりと 続いて行く
空に 巻かれて
昨日の 蒼い空間を染めた 飛行機雲が
すうっ と 哀しい気分を 切り裂いた 気がした

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