喪失/藤鈴呼
 


君の居なくなった虚空を
ふんわりとした雲が 流れてた
何故だか 涙は 出なかった
何故だかは ハッキリしている
「喪失」でも「消失」じゃあ
ないからだ

それでも 繋がっていた 蜘蛛の糸を辿れば
空へ届くのだと 信じて居た頃よりは 苦しくて

泡を食む 金魚のように
誰かの後を ついていきたいのだと
まとわりつく 蜘蛛の糸のように
本当は どんな形にも 七変化する 
雲の形を眺めて 笑いたかったのに

歪んだ隙間から見える 眩しげな瞳に
僕の姿だけが 映らなかったから
それが 哀しくて

穴が開く程 見つめてた
穴なんて 開くもんかって
飽きる程
[次のページ]
戻る   Point(2)