秋深まる前に/
いるみ
秋の香りが残り僅かなあなたを
連れていきました
どこか 遠くの あなたを
待つ女にはなれません
と
言い切る前に
お行儀の悪い左手が
わたしの頬をぶちます
秋はふざけた科白を好みました
雨にうたれれば
初夏のみすぼらしい気持ちも
思い出すでしょう
そして、もう
さよならだ
うたうように
うたれた
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