「好き」の期限ときっかけと/佐藤承夕
 


お気に入りのあの歌手の
お気に入りのあの曲を
アラーム音にしたときから
お気に入りを嫌悪する

つまらない学校の
つまらない教科書を
指を指して読まされてから
文字を見ると欠伸がでる

ぼくらが好きなものたちの
好きの理由の源を
見失って忘れてしまえば
好きも嫌いも消えてしまう

ぼくらが好きになるものと
出会う未来の始まりが
退屈という名の眼鏡越しでは
どんな景色も色褪せる

人の心は移り変わり
色は褪せて美は枯れる
それでもそれを見つめながら
ぼくらは「好き」を風に乗せ
共にいれるこの今を
いつまでもずっと大切にと
愛しく思える未来に贈る

お気に入りのあの曲の
つまらない教科書の
時代や世界を飛び越えた
想いを受けとれますように




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