この世界のまんなかは/佐藤承夕
 


太陽が回ってないとわかってから
宇宙に中心はないとわかってから
世界は途方もなくちっぽけになった

地図をネットで見てみると
あの長い長い上り坂も
息を切らして走ったグラウンドも
人ごみが詰まった街の交差点も
手のひらサイズに映ってる

小さな窓から見える景色が
この世界のすべてじゃない
小さな窓から聞こえる音が
この世界の声じゃない

鏡の向こうで笑う私が
私のすべてじゃないように
小さな窓へ綴る言葉が
私の心のすべてじゃない

私の瞳に映るあなたが
どれだけあなたを写してるのか
あなたの瞳に映る私が
どんな姿で映っているのか

わからな
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