十三月の童話/もっぷ
現れる
無人のそれ
しかし灯りは底なしの聡明さをみせる
北から来た君が冬の手前の十月の椅子から
どうしても立ち去りたくないと言う
ふるさとはどうするの
無人の灯りの塔がたずねる
(少しの幕間に何かが仕掛けられる)
岩を打ち砕かんばかりの波の午後
魚たちは眠れないで煩悩の音を聴いている
知っているのは君とわたしと灯台と
いや、白い貝殻もそこに居る
いつかここは十三月
明るい空から何かが落ちてくる、惜しみなく
一つを君、一つをわたしが掴み取り
永遠の墓標を見い出す
同時にただしさ、の崩壊そして
磁気コンパスは不要な世界の幕が上がる
白い貝殻たちが七色を纏った
緞帳芝居だと見破っても
瑠璃色の星は躊躇わずに承認の判を押す
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