ぼくの歴史も燃えてしまったように思えた/天野茂典
 
  
   枯れた草むらに
   寝転がるようなことはしないで
   ライターで火をつけてみた
   なかなか燃えない
   新聞紙がない
   紙屑がない
   諦めた
   炎は美しい
   燃えることは楽しい
   この草むらいっぱい
   火の海にして
   佇んでいたい
   愉快犯ではない
   放火魔でもない
   炎の芸術を楽しむ
   アーチストとしてだ
   
   ぼくの家が火事になったとき
   火は外へ出なかったという
   燻製のように家中を焦がしていたのだ
   もう4年たつ

   ぼくは狂って
   消防署に電話して
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