秋櫻のころ/草野大悟2
花びらが螺旋をえがきながら
どこまでも昇ってゆくのは
風がすこしばかり
あかね色にふきはじめる
こんな季節だ。
まわりの空が
息苦しくなるほど
蒼く変わってゆく。
果てにあるものが闇であることは
周知の事実だよ。
さっきまでいた場所を見おろしたとき
きみは
初めて
白になった父と母に気づくだろう。
初めて?
いいや、そうではあるまい。
生まれ変わる前から
そんなことは分かっていた
はずだ。
闇に潜むものの正体を
もう
きみは
じゅうぶん知っているね。
苦しみ、という言葉さえ
必要ないほど。
言葉が
言葉を脱ぎ捨てるとき
きみは
虹のうえに立ち
名もない光たちの母になるのだ。
今日
ぼくは
それを教えてもらった。
誰から?
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