挽歌/
イナエ
セピア色の銀板写真に
固定されたあなた
肋骨の浮き出た体で
西瓜を喰っている姿に
戦場の匂いはないとしても
あの夜
炎にあぶられた身体は
反り返り 跳ね返り
決意は ぱちぱち爆ぜて光り
あなたの意志も言葉も
煙になることさえなく
空の深みに消えてしまった
ビルをすり抜ける風音の深奥に
かすかな声がゆれていても
二十世紀の空に沈んだあなたの
歌はもう聞こえない
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