ある日旅人がやってきた(だーれも知らないシリーズ2)/森川美咲
 

うまく説明できる者はいなかった

かつて旅人だった男は
さあそこで大いに迷った
再び旅人に戻ろうか
村人たちとともに働いて生きようか

さあここは自由な物語の世界
特別に両方の続きを教えてあげよう

旅人だった男は再び旅に出た
残された村人たちは
何だ今までの恩も忘れて
勝手にいなくなっちまって と
それまで旅人の味方だった者も
しばらく旅人の悪口を言ったが
やがて忘れていった

もしくは
旅人だった男は完全に村人になった
慣れない畑仕事は大変だったが
多くの村人たちは温かく
手取り足取り教えてくれた
それまで彼のことを
悪く言っていた村人たちには
疎ましく思う気持ちが何となく残ったが
それもやがて薄れていった

そんな村に
またある日
一人の旅人が立ち寄った
村人たちは珍しい話に飢えていたから…



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