ある日旅人がやってきた(だーれも知らないシリーズ2)/森川美咲
 
だーれも知らない
あるところに
みんなとっても仲のいい
素晴らしい村があった

ある日のこと
村に旅人がやってきた
いろんな世界を見てきた旅人は
村人たちの知らないことを
いっぱい教えてくれたんだ
村人たちは珍しい話に飢えていたから
野菜や果物
釣った魚や織った布を持っては
旅人のところへ話を聞きに集まった
村はとても居心地がよかったから
旅人は旅をやめてしまった

時が経つと村人は皆
旅人が旅人であったことを忘れた
なぜ彼は畑にも漁にも出ずに
いつもえらそうに演説しているんだ
そんなことをいう人たちも現れた
みんなが旅人だった男を嫌ったわけではないが
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