箱庭にて この大きな山門より/黒ヱ
比翼と翔け その止まり木に
大切なものを失くし
また その存在すらも忘れた 男の話
ある男
「いざ ここから 初めてを行かん」
川の辺にうずくまる蛙の 泥に似た合唱
好み 幾重も聞き それすらも真似れない
駆ける 稲穂を掠める 飛ぶものに
恐れを抱いて 想いを馳せて
思い出の人
「なかなか どうして」
新たな花を繋いで それは壱としているのだけども
並び続ける一番達 まえならえ
散りまた芽吹く樹木の 違う花々
その色に 香りに 戸惑いては潜る
深き この大海に
さよならを着付け 歩く
話す それすらもしないまま さよならを渡す
上辺を撫
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