使命/葉leaf
 
計画を遂行する使命があるんだ。反対住民の側に立つことはできない。この使命ってのが厄介でさ、俺は使命のためのただの手段に過ぎないし、なんか昔持っていた小さな共同体の中での温かい人間的なつながりや気遣いをどんどん失っている気がする。俺はもう人間じゃないのかもしれない。人間ってのは何かの手段ではなくて、それ自体尊い目的だったはずなんだ。それが今じゃ使命を持った機械、目的を持った機械だ。そのためには繊細で感じやすい自分ってものを殺さなくちゃいけなくなった。なんかそれが悲しくてさ。彼は果物の皿を一つ平らげ、お茶を満足げにすすりながら、そんなことをこぼした。自分の中の余分なものを軽快に切り捨てていくかのように
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