湖底幻想 その二/イナエ
 
周りの山を写す湖面の鏡
虹色の橋が架かり
友の誘う声が聞こえても
ぼくは そこには行けない

木々に守られていた明るい過去
育った家 育った台所 育った学校 
父もいた 母もいた 友人もいた 
小さな花壇は四季 花に彩られていた

けれども
ぼくの場所はもうない


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