縮図/千波 一也
 


縦横無尽の蜘蛛の巣に
きらり、とひかる
ひと粒の


水に囲われ
ささやかに揺れている
ひとしずくの
時刻

断片的な
その美しさのかたわらに
白く包まれた命がある

つい昨日まで
花々をわたり歩いていただろう
塊がある

もうじき
捕食者は現れるだろう

わたしはそれを喜ばないが
特別に悲しみもしない

だから
ここを去ろうが去るまいが
すべてこの身に任されている






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