雨の向こうで/
森川美咲
闇の中耳を澄ます
雨の音の向こうに
何か聞こえた気がして
屋根を打つ雨粒
木の葉から落ちる雨だれ
水路を流れる雨水
それらのシンフォニーの向こうで
一瞬
歌声のような
笑い声のような
雨の夜中に
歩く者もいるまいに
ああそうか
雨に遮られたせいで
この部屋にたどり着けない
僕の夢が歌ったのだ
厚い雨のとばりを挟んで
僕と夢が呼びあっている
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