冬の翼/
千波 一也
春になったら
冬は死んじゃうのって
おまえがあんまり悲しそうだから
ひとつ、翼をあげよう
冬とおんなじに
翼をあげよう
どこへでも渡っておいで
時が満ちるまで
空がめぐるまで
春になったら
冬はいなくなってしまう、確かにね
だけれどそれは約束なんだよ
命から命へ渡る約束なんだよ
ほら、
おまえの涙も悲しい顔も
その笑顔をのこして
いってしまったね
冬にはみんな翼があるから
やさしく送ってあげなさい
そうしてやさしく
帰っておいで
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