自爆装置/永乃ゆち
 


壊されたかった。

半分の月が
見下してる時に
わたしはタバコを吸って。
投げ捨てられもせず
うつむいて。

つま先で
粉々に。


また夜が降ってくる。


塵のように
煙のように。

誰の手も借りず
壊れてしまえるように
自爆装置を
植えつけて欲しかった。

わたしの脳は
平凡で健全で
思うより平常。


目の奥が口の端が
手のひらが関節が
乾いている。

軋ませながら動いている。

欠落した自爆装置。

壊れてしまえば
何もなくても
楽しくやって行ける。

楽しくやって行ける。

あなたに自爆装置。
この心臓に
植えつけて欲しかった。



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