人生への愛/葉leaf
 
生の面白さに興を得て人生を愛しながら詩人は詩を書くのである。
 私はここで特に「実存」などという言葉を使おうとは思わない。詩を書く者はただの人間であってよろしい。むしろ、実存の淵だけではなく、人間であることによって当然に直面していく様々な平凡な出来事に人間は反応していくのである。平凡でありありきたりであり、しかし限りない愛情でもって眺められている無数の生活の事物、そこに詩の源泉はある。
 詩は特に瞬間をとらえる必要はない。当然、詩は物語であってもいい。瞬間でも物語でもない時間の錯綜物、つまり人生を詩は捉えるのであるから。そして詩を書く者は幸福である必要もないし、不幸である必要もない。感情の
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