シューゲイザー/ソリッド町子
彼の宇宙では音が鳴り
言葉にもならない音が鳴り
私は深海でそれに応える
言葉にもならない音を鳴らす
彼はいつも足元ばかり見つめて歩くから
私が見つめていることに気がつくことはない
私はいつもあらゆる人々に目を奪われ過ぎて
彼がどこにいるのかまったくわからないでいる
その胸に耳を押し付けて心臓の奥深くの音を聞かせて
ノイズだらけの不規則な生きている音、これ以上の幸福はない
それがおそらく私たちのもつ言葉のすべて
彼の鳴らす音が私の胸のなかに染み入って
心地よく溶けて消えてしまう、それで私は満足して
だから私たちはいつもすれ違う、互いの目も見られないままだね
戻る 編 削 Point(1)