雨中遊泳/
こうだたけみ
雨のなか傘を差す
魚みたいな子供たち
誰一人笑わないから
かえって可笑しい見開かれた目
視界に言葉が散乱する
散乱した言葉たちが産卵する
そこから魚たちが生まれてきては
身体をくねらせている
秋は梅雨時より雨が多いと知った
曇天を横切る快速電車の中で
今日も遅刻しそうになりながら
もっと大きな何かを諦め始めている
特異な季節であなたとわたし
ひとつの接点をふいにする
雨の日は遊泳禁止です
そうねまだうまくは泳げないから
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