或る夏の日 三篇のオムニバス/るるりら
 

性の手元を照らした瞬間
それが何であるか解った
あれは アルバムだ。

四角く 写真の部分だけが光を反射させている
その人は
ときよりアルバムのページを ひろげ
風のあたり方を変えている

二本のレールの果てを見つめると
たった一点から延びているかのように見える
人は線路の果ての ちいさな一点に いつも帰りたがるが
今という時間の中で二本のレールは けして一本にはならない 

写真のその人たちは
永遠に笑っていくのだろうか 
泥に埋もれようと けして穢れないままで
だれかを励まし続けるのだろうか

写真が
泥から救われて 乾か
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