或る夏の日 三篇のオムニバス/るるりら
 

乾かされるのを
やっと洗いだされた梅林駅の二本のレールが 
見ている

私は これから
けして ちいさな一点になったりしない この場所に
いつも かならず戻ってくる 




【 トゥ  ビー 懇テニュー】

七軒茶屋のあたりの敷地の境界も
流れてしまって あるかないかの トゥ  ビー ノット トゥ ビー
アスファルトの下にも 水が走り 道路にも亀裂と湾曲

人間のものではなくなった土地から
人間の町を 掘り興す
通りすがりに いつも花をくれた御宅も 今は泥の中
幾筋も山の斜面が削れて
家々も 流れた
けれど 花が咲いている

傾いた一軒の家の 干しざおに
真っ赤なゼラニューム
物干しざおは 平行をすっかり失っている
それでも 真っ赤な花が 吊り下げられたままに
揺れている
祝祭の赤い色

自然の暴挙に なすすべもなく
それでも 赤い花が咲いている
トゥ ビー コン テニューの赤い色



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