ツバキホテル908号室/そよ風
高級感と親しみやすさの中間にある
ホテルのロビーは
桜柄の赤い絨毯と重厚な柱時計
誰が作ったのか知らない手作り品の
お土産を販売している
14:30
アーリーチェックインが
はじまる
ベルボーイがフロントの電気を
つける「パチッ」安い乾いた音と
共に灯りがついた
琥珀色の照明を灯すとベールがかかったように
ロビーは暗さをます
長年のチリや人が通り過ぎた後の
湿っぽい熱気が
琥珀色のベールに包まれ充満している
それは田舎のお屋敷にある
使われてない応接室の
窓際の布だけ
日焼してしまったソファと
にている
いつからか時間が止まってしまった
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