まほうの西瓜(ゴル投稿)/百均
 
aの上に塩がまぶされ、一回り小さくなったまほうの西瓜は水滴となり、三番線のホームを赤く濡らした。僕は電車に乗り込んだ、

夏休みのなくなる年に、ここから出て行くことにした。窓の外の次々と過ぎ去って行く風景を、五年前、毎日眺めていたあの頃は、なんとも思っていなかった。緑を、日差しを、特急列車は全てを洗い流していった。

...とか、なんとか、スイカバーを食べながら、また昔のこと思い出してたら、僕の隣と前にある三つの関係が、静かに揺られながら、無垢な寝息を立てていた。僕は昨日切ったばかりの髪をかきあげながら、また窓の外を見て、光彩に映る、幾度も過ぎ去った暖かい光を、季節を、過ぎ去るように、また同じように焼き付けながら、スイカバーを食べた。西瓜はダメなのにスイカバーはいいのね、なんて、起き抜けにそんなこと言わなくたって、とか僕はいいながら、でも、これには魔法がかかってるからいいのさ、といいかえしてやった。/次、止まります。

即興ゴルコンダ(http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=4837060#10640971)
戻る   Point(3)