雪/kaz.
立たない、国家の成立のために捧げられたものたちの声を、ぼくは高行健の文脈から読み取る、でもすべて読んだわけではない、もういっそのことすべて忘れ去ってしまいたい、でも忘れられない、だから図書館に行く、そこでベケットをちょっと読み返す、これも全部読んだわけじゃない、ああなんてぼくは中途半端なんだ、けっきょくどれもこれも中途半端だ、どこにも完全はない、その点について責め立てられる心配はない、また美しい記号を探しに出かける、『ある男の聖書』をほんの少しだけ手にとってめくってみる、それで聖書が読みたくなってくる、どうせここに書かれているのは自分の話だけだ、そう思うことにする、そしてやめる、もうやめだ、宝なん
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