歌集平成二六年七月二九日より(一)/生田 稔
に秋のコオロギいつも鳴く今この秋の日は未だ鳴かずも
花好む妻にしあれば野に摘みし花生けて共に楽しむ
曇り空秋の今日の日友とともさあ行楽に家出でなと出発す
中秋の路はせ行けば道のへに落ち葉吹き寄せ溜まりてありぬ
材木が積んでありけり茶色くて新鮮な木なんに用いる
波さわぐ湖のそばきて雲多き空その間より陽の光さす
秋深く風何となくひややかでやがては寒き冬の風吹く
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青草や広ごりており病院に病みていたころふと思う時
間もなくも八十路となりぬモーセの言う人の命満ちる歳なり
白き雲あり広き窓あり秋の日の午後の「ひより」の座席にいま
「ひより」の窓見上げれば青々とした空神エホバ座したもう空
淡き虹雲間にかかり神の契約人死なじと神の約する
どこまで続くこのアスファルト道わが人生を予表するごと
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