傷/葉leaf
とを防いでいる。この渓流は私の傷である、と。
あるいは、私は実家の庭を疲弊した体でうろついていた。古くからの農家なので、竹林や沢山の庭木があり、またぽつぽつと咲いている花もあり、私の疲労を少しずつ置き捨てていくのにちょうどよかった。そんなとき、地面の色と似ていたため初めはそれとわからなかったが、一匹の蛇が目の前の地面にじっとしていた。私は尻尾の方を軽く踏んでみたが、特に動く様子はなかった。だが、私との睨めっこに飽きたのか、するすると木陰に入っていってしまった。そのとき不意に私は思ったのだ。この蛇は私の傷である、と。どこまでも私と同化しようとしながらも、結局は異物として消化を拒み、より深いとこ
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