冴えて冷まして/加藤
 
話をしようとした後
急に言えなくなってしまった
風が流れる匂いといっしょに
そんな話題自体がすり抜けて消えた

用事を済まし終える頃
また新しい空気がはいってくる
悲しい知らせを思い出す時
今日の知らせをすっかり忘れている

全部終わったことだった
気がついたらあっけに取られたような気持ち

幸せと辛さを二つに分けて
もう一度結んでみようとする
たくさんかきわけて引っ張って
それで疲れている

大変だと思ったたとんに
転がって何かにぶつかる
その体は 離れたのか離されたのか分からない
自分からぶつかる
大きな音がする
固く目をとじて
ムリヤリに眠る
夢と現実がびりっとはがされる瞬間のような音

脈がバクバクうつ
元気なふりがずい分 うまくなった
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