千津子/田園
 
そういえば、
と千津子は言った。
貴方何時までここにいるんだい。
天気は晴れかそれとも雨か。
飴でも降ってくれねえかねえ、
そんな事を思いながらお前に飽きる迄だよ等と、
笑いながら答えると千津子は何時も決まって不機嫌になる。
離れて暮らした方が良いのは分かっているのだが、
俺には金が無い。
馬鹿な男として愛される他に道は無い。
千津子は何かにつけては早く出ていけと暗に言う。
俺は知らぬふりをしてここに居座る。
千津子は飯を作ってくれる。
千津子は膣を捧げてくれる。
だから俺は居直るのだ。
居場所では無い居場所に無理矢理自分の身体をねじ込み、安穏とした平凡に憧れて。

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