序曲/葉leaf
 



都市の中心部に何の華やかさもない機能だけの建物が立っている。だがこの建物はどこからどこまでも限りなく意味に満ちているのだった。建物の内部は若干冷たく湿った空気により満たされ、事務用品や書類などのかすかな乾いた匂いが辺りを浸している。壁には案内板やポスター、座席表などが貼られ、全ては中枢によって統御された組織系統によって秩序付けられているが、末端では中枢がもはや分解された観を呈している。人々は通過に通過を重ね、あらゆる場所に人々の過ぎ去った名残が影のように溜まっている。このすべての神話と幻想を拒絶するような建物は、新しい神話と幻想の到来をいつまでも待ち続けている。その証拠に、いつ始まった
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