「片恋/裏」/桐ヶ谷忍
だからあなたは
ひかりへ向っていて下さい
あなたの
その肉を流れる血液を脈打つ鼓動を
私はこの手で感じられない
それでも
こうしてあなたの後ろに立った時
あなたの影の中にいる私は
まるで抱きしめているかのような
泣きたいほどのあたたかさにこの身がふるえる
だからあなたは
いつもひかりを受けていて下さい
触れる事も叶わない片恋の
背徳的な歓びに浸りながら
あなたの背中越しにこうして
密かに掻き抱いていることを
あなたは知らなくていい
(知ってほしい)
ただただ
あなたの正面にいつも
ひかりがあることを祈る
あなたの為に
(私の為に)
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