そうならねばならぬのなら/寒雪
時はみんな平等に
手元から失っていくのよ
はにかんだお前の手を
そっと握りしめて
別れたあの日から
おれは
うまく笑えないまま
歳だけを重ねっちまったよ
人間は誰だって
いずれ死んでしまうのよ
涙をこぼしたまま
微笑んだお前のことを
そっと抱きしめて
離したあの日から
おれは
感情を表に出せないまま
今日まで歩いてきたよ
掛け声とともに
命を投げ出すことが出来ないのなら
おれは平等なんて信じない
ただ苦しみでコーティングされた
さよならという言葉を
飲み下して受け入れるだけだ
自らの死が鎌首をもたげる日まで
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