Qの渦/ichirou
湯船の湯の中でアルファベットを書いていると
いくつものカルマン渦が生まれた
小さなCの渦
乱れたEの渦
投げやりなXの渦
Qを書くと
Qの渦が生まれ
その中心が優しく輝いているのが見えた
私はQの渦に吸い込まれた
微かに光る安堵の水が流れ
森羅万象を受容し
私は静かにその中心に向かう
ほんの数秒の幻想
人が活動すれば渦が生まれる
他者も自分も周囲も
その渦に干渉する
一概には言えない複雑な渦の関わり
でも
共感も敵対も
自分たちの生む渦次第
自分が生んだ渦を意識していることは少し面倒だけど
あのQの渦を生みたいと想うことは楽しい
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