また日が(悪)から/yuugao
引き戸の開け方で
それが誰なのか聞き分けられるようになった頃
未練を滲ませる静寂を恋しくおもお
大き目なテーブルの四隅は、夏だというのに冷たくある
残った筆跡が語ることを(僕が)語るには
どこを見ても足りないものばかり
先輩が口にする循環を待ち詫びるしかなく
手にする道具が(あなたの)身体の一部から剥がれていって
薄暗い日陰の廊下へと逃げ出していく
聞き分けの悪さに
後打ちされそうになった(僕を)繋ぎとめる
食いしばっていたはずの歯の感触を忘れぬようにも
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