懐剣/
砂木
大人達は誰もとがめず 儀式は続いた
弔いは無事に終わり 和尚様は最後に言った
きっと 子供の記憶の中にいつまでも残るだろう
娘たるもの 頑張る気で 弱気は跳ね返して
儀式が滞りなく終わるように祈っていたが
姪が絶叫する姿に どこかほっとした
死に なじまずに叫びたい
ほんとは叫びたかったんだ
でも純粋に死を畏れてばかりもいられない
たとえば泣き叫ぶ姪を 守るためにも
供養にあげる供物 守り守られ 割り割られ
真剣は 拝む両のてのひらに 消えていく
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