果て/Giton
北のはてでは夏のさかりがみじかい
浜に咲きいそぐ大振りの花弁が悲しい
北のはてでは午後の日はながい
こどもたちは海から上がると
ひからびた流木を焚いて暖をとる
南のはての海に突きでた丘のうえ
朽ちかけた鳥居の傍らにテントがふたつ
そこだけが水中の珊瑚のように輝く
人のない白砂(はくしゃ)にうちよせる解かれなかった暗号
沖に停泊する灰色の巡洋艦
ひとの背丈の2倍はある甘蔗(きび)の畠に分け入っても
斑らに放置された直播き田をさまよっても
いつもきみのすがたは視野のかなたに踊る
なにもかもが寝静まった真昼の孤島
尖った岩頸が太古の夢をむさぼっている
その頂きまで 丈高い草だけがつづいている
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