〜いぬらぶ〜/天地無用
 


「見て、散歩させているあのおじさん」

 彼女はそう言って顔を向けた
 屋外で共同作業を行っていた




「ねえ、似たのを選ぶんだって」

 彼女の真ん丸な瞳が見上げる
 テレビ番組からの情報らしい




「飼ってるんですんもすんごくかわゆいですよぅ」

 彼女の球形の顔は再度彼方へ
 ミニチュアダックスフント種



姿形の似ているのを選ぶ
世俗に於いて類は友をと
異種異族を排する働きか
同種同族への愛ゆえにか
この一扁界一杯に溢れているであろう摂理へ想いを馳せてみよう
鳥より遠く魚より深く 遥か 遥か……




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