〜いぬらぶ〜/天地無用
「見て、散歩させているあのおじさん」
彼女はそう言って顔を向けた
屋外で共同作業を行っていた
「ねえ、似たのを選ぶんだって」
彼女の真ん丸な瞳が見上げる
テレビ番組からの情報らしい
「飼ってるんですんもすんごくかわゆいですよぅ」
彼女の球形の顔は再度彼方へ
ミニチュアダックスフント種
姿形の似ているのを選ぶ
世俗に於いて類は友をと
異種異族を排する働きか
同種同族への愛ゆえにか
この一扁界一杯に溢れているであろう摂理へ想いを馳せてみよう
鳥より遠く魚より深く 遥か 遥か……
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)