「ストロベリーキャンディーの心臓」/桐ヶ谷忍
 
たとえばこのストロベリーキャンディーが
私の心臓だと言ったら
あなたは口に含んで舐めて溶かして
身体の一部にしてくれるだろうか
それとも捨ててしまうだろうか

甘く感じてくれて
最後は噛み砕いて飲み込んでくれるか
包み袋すら
破いてはくれないか

ふたつにひとつなんだ
きっとそんなもんなんだ

ねえこれが私の心臓だとしたら、と言って
あなたに差し出してみたい
戻る   Point(18)