陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
りますよ、ほら、ヨ・ウ・コちゃん」
「おっすごい! ギネスじゃん」
「そ、ギネス、冷えてないけど」
 『激辛パンチNちゃん』もそろそろ出来上がったようだ。小屋にいるのは二人だけ。
「陽子、一日早いけど、ハッピーバースディ」
「ありがと」
 ギネスとラッシーと『激辛パンチNちゃん』が二人をこれまでになく、素直にしていた。

翌日早朝、日の出前
「太郎、起きて!」
けたたましく陽子の声が響いた。
「ん!?」
「起きて、早く、早く。頂上行くよ」
「えっ?」
 太郎は、何が何だか判らないうちに寝袋から引っ張り出された。
 東の空がすこうし明るくなりかけた中を、高岳山頂
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