溺れる/寒雪
アスファルトの
肌が焼ける臭いに
辟易しながらも
太陽を背負ったままの
僕にとって
影の温もりを
抱きしめることが
本当に罪深いことなんだと
鼻先に突き付けられた
絶縁状の文字の
隠し持った刃物に
嫌というほど切り刻まれた
僕の絶望
あれほど
僕のそばから
遠ざけようと
夢にも見ないよう
懸命に働いてきたのに
僕の脳裏で
薄ら笑いを隠さない
毒々しい言葉の束を
こんなにも渇望してしまう
いずれ煉獄に繋がれると
うちひしがれそれでも
まやかしの優しさに
すがる僕は
生きていくためには
仕方のないことなのだと
弱々しい心を
ただ欺瞞で埋め尽くして
今日も浅い眠りにつく
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