チャールズ・ブコウスキー/六九郎
 

邪悪とは
ブランドもののスーツを着こなしながら
遠くの貧乏人を殺すこと
エアコンの効いた部屋で
あるいは1000万円の車を転がしながら
遠くの貧乏人を殺すこと
自分の利益のために
他人を犠牲にすること
他人を犠牲にすることに
痛みを感じない男
自分を勝ち組だと感じ
だまされる奴は馬鹿だと笑う女
これまでもこれからも
スマートで賢いエリートが
戦争を引き起こす
自分が間違っているなんて
これっぽっちも考えたことのない奴等
自分の見ている世界が全てだと信じている賢そうな顔をした馬鹿共

悪とは
飲んだくれて働かないこと
家族を養わず
女子どもに手を挙げ
自分より惨めな奴を踏みにじることに悦びを見出す
うす暗い目をしてこそこそ這い回り
己の欲望を満たすためだけに生きているような奴

どんなに自分が堕落しても
どんなに駄目になったとしても
せめてそのどちらにも転ばないように
きわどい細い小路をよたよたと
悪態をつきながら歩いて行くのがチャールズ・ブコウスキー

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