陽炎の道 /
服部 剛
それは二度と帰れない季節
それは陽炎(かげろう)の向こうの想い出
もう、手の届かない恋があり
これから手を伸ばす、夢があり
永遠(とわ)に年齢の無い旅人のまなざしで
今日から僕は世界に、恋をする
――草よ、花よ、樹よ、人よ
――織り成す日々の出来事よ
日々に塗(まみ)れて、歩みつつ
額に垂れる、汗を拭って
あの陽炎の揺らめく明日に
やがて薄っすら視えてくる
約束の物語を描こうと
青空に浮かぶ不思議な
手の像に
握られた、天の絵筆が
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