粉雪/寒雪
 
久しぶりに晴れた
雲がいじわるじゃない日
久しぶりでごめんと
きみの前に現れた日
頭をかきながら
鼻の下を指でこすって
仕方がないな
なんて笑顔で語りかける
きみを見たのも
久しぶりだね


ちょっと見ないうちに
なんだかきみの棲む
硬く冷たい御影石に
排気ガスだとか
うっすら生えた苔だとか
すっかり汚れたみたいで
綺麗な佇まいを取り戻そうと
一人
言葉を紡ぎながら
黙々と手を動かす


ぼくの
心をこめた掃除で
きみの居所は見違えてしまって
なんだか
自分の知らない場所みたいで
やりすぎたかなと苦笑い
たぶんきみは
そんなぼくを笑って
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